2つの性質を持つ疾患

専門医の下で再発予防
単極性のうつは気分が落ち込むうつ状態だけ起きますが、双極性障害はそれに加え、社交性や上機嫌な気分なども併せ持つ病気です。躁うつ病とも呼ばれるこの疾患の発病率は、国内で1%未満、海外では1%から1.5%程度と言われています。また、双極性障害の発症ピークは20代となっており、年代に関わらず発病する単極性のうつとは異なる傾向が見られます。ならびに単極性のうつは女性が掛かる場合が多く、男性は半分ほどですが、双極性患者の男女比率はほぼ同じです。双極性障害は最初から発病するほか、初期は単極性のうつでありながら、およそ20%から30%の方が、途中で双極性に推移しています。そのため20代やそれ以下の方の場合、単極性のうつの治療中でも、双極性に進展していないか注意しておくのが基本知識です。一方、双極性障害では躁状態とうつ状態が均等に出るとは限らず、うつ状態が短く、躁状態の方が長く出る場合もあります。ですがこの状態でも躁病とはならず、病院では双極性障害と識別されるのが基本です。そして躁状態の度合いによってI型とII型に分類され、軽度ならII型、中度以上ならII型となります。周囲と摩擦を起こさなければ人柄と誤認されがちですが、それはII型の基本症状に由来するとも知っておき、見落とさないようにしたいところです。それに対しI型は自制が効かなくなるケースが多く、賭けごとや度を越した馴れ馴れしさなど、暮らしや仕事で重大なトラブルを招きやすい状態に転じます。そのため双極性の場合、重症化する前に精神科、もしくは心療内科で治療を始めるのが大切なマメ知識です。単極性のうつと同じく、双極性障害も病院では投薬療法を主体に、心理療法や社会的なサポートも含めて治療が行われます。そのため双極性障害の治療では、いずれかの精神科や心療内科へ通うのが一般的です。とりわけ投薬療法は単極性のうつと違い、抗うつ剤だけでなく、躁状態を抑える抗神経薬類も必要になります。しかもそれらは治療の脇を固めるだけの場合が多く、殆どのケースで治療の主体は気分安定薬です。ネットを利用すれば医薬品も個人輸入できますが、素人見立てで間違った薬を飲めば、かえって事態を悪くするリスクがあります。ところが病院なら薬を適切に選んでくれますから、安心して治療を受けられることでも、医療機関での治療が好評です。そのほか、双極性障害は単極性のうつに比べ、再発率が高いといった特徴を持っています。再発率は90%と言われるなど、単極性のうつと比べ、概ね3倍の再発率は軽視できません。特に中度以上のI型は、服薬を止めて1年半もすれば、大体80%の方が再発するというデータも出ています。治ったと感じても薬を止めれば再発しやすい病気ですから、新たな症状を防ぐ意味でも、精神科や心療内科へ通い続ける方が少なくないのです。双極性障害は薬を長期間服用すれば、約60%の確率で先々の症状を予防できるとされており、その点も病院が支持される由縁となります。さらに、病院へ通院すれば、双極性障害に対して色々知れることも大きな魅力となっているのです。正しい知識を身につければ病気のコントロールも行いやすくなり、より効率的に治療へ臨めます。そのほかご家族はもちろん、必要とあれば職場へも協力を求めて治療環境を整えてくれるなど、自力では難しいサポートが受けられるのも、病院ならではのポイントです。